コンテンツ分析×SEOでアシストコンバージョンの獲得増加 - 株式会社ベネッセコーポレーション「いぬのきもちねこのきもち」事例【インタビュー】

いぬのきもち ねこのきもちWebサイト

ユーザー視点を大事にしながらコンテンツを運用することで、検索流入の増加はもちろんアシストコンバージョンにも繋げることができます。
今回は、当社の「サイト運用コンサルティング」を導入していただいている、株式会社ベネッセコーポレーション ペッツ事業部の長谷川志帆氏と株式会社サイバーカルテルの増田洋平氏にお話を伺いました。

ペット業界の歴史ある雑誌『いぬのきもち ねこのきもち』。アプリ配信をキッカケにWebサイトのコンセプトを変更

――早速ですが、貴社の事業内容とサービス展開について教えていただけますか?
私たちのペッツ事業部は、ベネッセコーポレーションが発行する『いぬのきもち』『ねこのきもち』という雑誌の販売や、ペット保険『いぬのきもち保険』『ねこのきもち保険』の扱いなど、ペットとの暮らしを充実させるご提案をおこなっています。
『いぬのきもち』はしつけや飼育の悩みを解決するなど、犬との幸せな暮らし方や楽しみ方などをメインにしており、『ねこのきもち』は、猫好きの方が読んでいて楽しくなるような内容を念頭に、仲良くなるコツや健康対策など、エンタメ性の強い雑誌になっております。

ベネッセコーポレーションさま(写真右から、株式会社ベネッセコーポレーションの長谷川志帆氏と株式会社サイバーカルテルの増田洋平氏)

――Webサイトの運営目的について教えてください
Webサイトは10年以上運営していますが、以前は雑誌の販促と保険の加入が目的だったため、アイドル猫やアイドル犬のブログ連載がメインで、情報はあまり充実しておりませんでした。

しかし2015年2月から『まいにちのいぬのきもちねこのきもち』という無料アプリの配信を始めたことでアプリインストールが目的に加わり、雑誌や保険の販促だけでなくアプリインストールも促進できるサイトへとコンセプトを変更することになりました。

雑誌コンテンツとwebコンテンツの差別化、棲み分けしきれるかという懸念

――ナイルとのご契約以前、Webサイトの運営ではどのような課題を感じていましたか?
実は一般的に犬を飼う方の数は減っている傾向にありまして。その影響もあり雑誌の購読者数が減少していました。雑誌が売れなくなるとブランド力が下がってしまうという課題を抱えていました。
私たちは雑誌制作で培った独自コンテンツをたくさん持っています。それを生かしてWebコンテンツを作りPULL型のWebマーケティング手法であるSEOで集客し、同時にPUSH型のアプリでそのコンテンツを発信していくことで新しいブランド価値を作ることを考えました。
ただ、一方でWebで発信する情報は、雑誌に掲載する情報とは棲み分けをする必要がありました。

ベネッセコーポレーションさま

――SEOにおいてはコンテンツの拡充が必須ですが、有料で販売している雑誌と、無料のWebコンテンツの棲み分けは悩ましい課題の一つですね。

そうですね。とはいえ、我々が出さなくても競合などさまざまなところが情報を発信しています。その状況で「雑誌は売りたい」「認知は高めたい」けれど、「情報は出せない」では将来的にブランド力も発信力も低下していってしまい、そもそもユーザーからの信頼性向上が図れないのではないかと考えるようになりました。

実は社内に存在していたユーザーと専門家のQ&A情報。コンテンツ運用とSEOの両立が課題に

――その後Webコンテンツはどのような方針で運用することになりましたか?
雑誌と共存できるような情報の出し方があるんじゃないかということで、ペットのことで困ったときにすぐ解決できるコンテンツなど、Webを通じて間接的に『いぬのきもち』『ねこのきもち』の雑誌を知っていただけるような企画を関係者で出し合いました。

その中のひとつに「獣医師相談室」があります。

雑誌を購読すると受けられるサービスの中に獣医師による電話相談窓口を設けているのですが、そこには過去10年分くらいの相談がストックされていて、数千件のQ&Aが作れる情報が残っていました。
ユーザーが検索して調べるような情報には緊急を要する内容もあると思いますし、専門家の意見を確認してその場で解決できることで安心していただけるのではないかなと考えました。

だから、獣医師という専門家の「こういう心配もあるからすぐに病院に行ったほうがいいよ」とか「このくらい経過を見て大丈夫だったら行かなくていいよ」といった意見をコンテンツとして保有しているなら、ぜひ発信していくべきだと思ったんです。

ただ当時のWebサイトはそういったコンテンツを公開する仕様になっていなかったので、公開しただけではYahoo!やGoogleの検索エンジンで検索してもなかなか発見できませんでした。そこで、SEOにも力を入れていきたいという話になりました。

SEOだけではない提案力がナイルを選んだ決め手

――SEOに注力するとなったとき、ナイルを選ばれた経緯を教えていただけますか?
さまざまな方向性で検討しようと考え、3社で比較をしました。その中で、Webマーケティング全体を相談できそうだと感じたのがナイルさんでした。他社ではキーワードを出してそれに対する施策をご提案いただくことが多かったのですが、ナイルさんの場合は初めから総合的なWebマーケティングをご提案くださり、期待値が高かったです。
ちょっとした相談がしやすい雰囲気や、実際に相談したときの対応から信頼できると感じたのも大きかったですね。

ベネッセコーポレーションさま

――SEOとユーザビリティを両立するために、ユーザーの行動観察やアクセス解析などの話もしましたよね。当時SEO以外のニーズはあったのでしょうか?
SEOだけではなく獲得効率を高めることまで意識したご提案だったのは、決定要素として非常に大きかったですね。私たちがちょうどアプリを立ち上げた時期でもあったので、ナイルさんが自社で運営されているサイト(Appliv)で実績を出されていたということも評価がしやすく、いいタイミングだと感じました。

コンサルティング開始1年。分析を活かした運用で堅実な成長。

――現在のプロジェクト体制は、どのようになっていますか?
制作、デザイン、連載の作成など関わっている会社それぞれが分担して進行しています。その中でナイルさんは、“目標に対してどのようにWebマーケティングを進めていくか”という道筋を作る役割を担ってくれています。ご提案で示してもらった方向性を元に、サイトでどのように実現していくかを制作会社やデザイナーと相談するという流れになっています。

――コンサルティング開始から1年ほど経ちますが、ここまでの進捗はいかがでしょうか?
コンテンツ作りはすごく時間がかかって、リリースできたのは昨年の11月くらいから少しずつというペースですが、コンバージョンへのアシストとしていい数字が出てきていますね。直接的なコンバージョンにつながらなくても、今まで検索で圏外だったキーワードに順位がついてきているなど、成果を感じています。

ただ課題と感じる部分もまだたくさんあるので、優先順位をつけながら取り組んでいます。最近の課題は、サイト改善の進捗が若干停滞していることです。今はようやく土台ができた段階なのですが、Webは1回作って終わりではないので、2段階目のPDCAがはじまったところだと思います。先におこなったコンテンツ拡充施策では投下した分だけ流入が着実に伸びているので、今後もより伸ばしていくための課題に取り組んでいるといった状況です。

ベネッセコーポレーションさま

――分析面ではアクセス解析やヒートマップ分析も担っていますが、こちらは実務に役立っていますか?
普段から自分が気になっている部分のアクセス解析やコンバージョンは見るのですが、それらを詳細にまとめたり、全体を分析したり改善策を考えたりするのは時間的に難しく、なかなかできずにいました。
でも、ナイルさんが自分たちでは見ないようなところも見て下さったり、「GAでこんなこともできるんですよ」というご提案をくださったりするので、非常に大きな気付きを得られています。「ちょっと作ってみました」とか、フットワークの軽いご提案方法もありがたいですね(笑)

ヒートマップについても、ユーザーがどのくらい見てくれているか、都度出てくる課題の改善要素を出してもらいながら見直していく感じです。あとは単発的に分析したいものがあるときに、そのデータを1か月ほど収集したうえで課題をご提案いただくこともあります。施策を行った場合は、その度に効果検証も実施しています。

――振り返る中で印象に残っている場面はありますか?
いちばん初めの設計段階の施策資料は今でも見直しますね。制作会社の方も交えてああしましょう、こうしましょうって、何度も打ち合わせをしたりして。すごく考え抜いて進めたところなので、思い入れがあります。具体的な改善の方向性が明らかになり、チームとしても課題を共有できたことで充実感もあったので、とても楽しかったですし(笑)。

どういうコンテンツが必要かということも、実現できることベースで考えるのではなく、より効果が出そうなものはどれか、こういうデザインにしたらどうかなど、感覚ではなくユーザー行動観察や分析結果を元に根拠のある設計ができたことが印象深く記憶に残っていますね。

<参考事例>
「いぬのきもち ねこのきもち」ユーザーテスト(行動観察)を活用した潜在的課題の発見事例

コンテンツ貢献の可視化によって社内のWeb懸念が解消

――これまでのコンサルティングについて、どのような点を評価していただけていますか?
やっぱりデータを活用しながら検索流入を増やせていることですね。「このキーワードを伸ばしたいからこのコンテンツを作りましょう」だけだとなかなか難しいんですけど、アクセス解析することでどこを強化していけばいいかがよくわかり、課題や方向性が掴みやすくなりました。

あとは冒頭に申し上げた社内のコンテンツに対するネガティブなイメージが払しょくされたと感じています。流入やアシストコンバージョンなどの具体的な情報を共有できるようになったことで、雑誌の情報とうまく棲み分けできるのか?という懸念もなくなりましたし、コンテンツを配信することでユーザーさんのためになれたという実感も得られて、Webを充実させる提案も同意を得やすくなりました。

ベネッセコーポレーションさま

それと余談ですが、ナイルさんは担当者が動物好きですごく親身になってくれるんですね(笑)。
以前、アイドル猫ちゃんが亡くなったことがあったんですけど、「僕泣きながら資料を作りました。長谷川さんは大丈夫でしたか?」って一緒に偲んでくれたんです。飼っている犬の話を聞かせて下さったり、「ペットと暮らす幸せ」という企業理念に心から同意してくださったり、本当に犬や猫が好きな方が担当してくださっているので、弊社の意図をすごく汲んでもらえるのは嬉しいですね。事務的な対応をする会社が多いなか、動物好きな方と人として接しながら仕事ができるのは、想定外のメリットでした。

コンテンツを通じてどこよりもユーザーに親しまれるサイトへ

――最後に、今後の展望を教えていただけますか?
今年の秋以降に大きなコンテンツを作っていこうと思っています。サイト全体として現在は改善のフェーズに入っているのですが、コンテンツ拡充は時間がかかるので……まだまだやることがいっぱいありますね(笑)。同時に、若干停滞気味の総合情報コンテンツにも少しずつ手を入れて、よりユーザーの目に触れるサイトにしていきたいと思っています。

長期的には、犬や猫を飼いたい時いちばん最初に思い浮かぶメディアであり、もっとも安心感があって親しみの持てるサイトといったブランドを作り上げたいと思います。
安心感のあるブランドとして信頼を得ることで、雑誌を買わなくても保険に加入していただけるとか、羽鳥湖高原レジーナの森にある「いぬのきもちコテージ」、東京都あきる野市にオープンした「わんダフルネイチャーヴィレッジ」などパートナーとして事業を展開しているサービスを好意的に使っていただくとか、広がりを持たせることができたらいいなって思います。
犬や猫と一緒に暮らす生活って楽しいし幸せじゃないですか。そう感じていただける方を増やしていきたいし、それによって幸せに過ごしてくれる犬と猫が増えていってくれたら嬉しいですね。

ベネッセコーポレーションさま いぬのきもちねこのきもち

ナイル株式会社について

自社のWeb運用ノウハウやSEO技術を強みとし、コンテンツマーケティングや分析など、Webサイトの総合的なROIを改善コンサルティングを展開しています。Webサービスを得意とする企業ならではのコンサルティングで、企業様のWebビジネス成長を支援いたします。

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