【インタビュー】株式会社河内屋のオウンドメディア活用事例。社員全員が情報発信する「コミュニケーション企業」へ

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「新たな印刷技術の可能性を追求し続けたい」という理念を持つ株式会社河内屋の國澤代表。同社の印刷技術はデザイナーやクリエイターから高く評価され、一般社団法人日本グラフィックサービス工業会の厚生労働大臣賞や経済産業大臣賞受賞など実績も十分。名だたるナショナルブランドのパンフレットなどを、多数手掛けています。

しかし、かつての同社のWeb戦略では、「印刷会社を検索する → 価格・スピード重視」というユーザーニーズとのミスマッチが生じ、自社の強みや差別力をアピールできないまま、アクセス数・CVRともに伸び悩んだ時期があったとのこと。 そこで、約5年前のサイトリニューアルを機に、SEO施策及び運用を担当したナイルと協力しながら段階的に課題を解決し、オウンドメディア戦略へと大きく舵を取りました。
現在はオンラインショップやSNS、ショールーム開設など、さまざまなチャネルを事業の成長やビジョンの実現に活用しています。

株式会社河内屋様

活版印刷をはじめ、特殊印刷や特殊加工などの高度な表現技術を得意とする印刷会社。最近は他業種企業とのコラボレーションによる紙製品開発や文具開発などにも注力し、2016年5月にはショールームを兼ねた第2工場「ラボラトリー河内屋」を開設しました。

株式会社河内屋コーポレートサイト
株式会社河内屋オンラインショップ

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ご依頼の経緯について

――2014年5月よりコーポレートサイトの総合的な運用をご依頼いただいています。ご依頼の経緯についてお話を伺いたいのですが。

リニューアル以前のサイトが「地元の印刷屋です。お気軽にご利用ください」というような、一般的な印刷会社と同じコンセプトだったので、「付加価値の高い広告印刷物をご提供します」というメッセージを発信できるようにしなくてはならないと考えていました。
サイト制作は別の業者さんに依頼したのですが、ナイルの初代担当者から「特殊印刷の独自性や魅力をもっと多くの人に知ってもらうためには、制作事例の紹介を中心にコンテンツを増やし、ファンを獲得していくことが重要」という提案を受けまして、総合的な運用をお任せしたという経緯です。

初代の担当者さんは、みずから河内屋の印刷物のファンになってくれたんですよ。自分の結婚式の招待状を活版印刷で印刷するなど、公私ともに親しい付き合いをしていました。
当時の招待状は、今も作品事例としてサイトに掲載しています。

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初期施策ではWeb上での視認性向上に注力

――ご依頼以降、第1フェーズ(初期施策)、第2フェーズと、テーマを掲げてサイト改善をご提案させていただきました。初期施策の内容はいかがでしたか?

初期施策では、Web上での視認性を高めることに注力しました。
具体的には「特殊印刷」「活版印刷」「バーコ印刷」など、「〇〇印刷」と名の付くキーワードの検索順位を上げることです。
制作事例の紹介を中心に、キーワードに即したコンテンツを増やすという施策の成果で、これら多くのキーワードで1~2位、悪くても1ページ以内をキープできるようになりました。これは現在も継続しています。

また、単体でのキーワード上位はもちろん、「港区+〇〇印刷」「新橋+〇〇印刷」などのエリア掛け合わせキーワードでも、すべて1~2位に位置しています。
エリア掛け合わせを重視したのは、当社のメインターゲットである法人客(広告代理店・デザイン事務所)などが港区・中央区・渋谷区に多く、こうしたキーワードからの流入を期待したからです。

施策継続でPDCAの成果を業績に反映

――第2フェーズでは、施策はどのように変化・進化したかお聞かせください。

サーチコンソールやGoogle アナリティクスを使っての調査やヒアリング等を行った結果、「活版印刷」「UV厚盛」といったニッチなキーワードが重要であることがわかりました。
これは、印刷物に関する知見が高いコアターゲットは、「〇〇印刷」などの特定の印刷技法をキーワードとして検索する傾向が強いためです。

これらの対策として、「活版印刷」キーワード強化のための下層ページ作成、「UV厚盛」に対する検索結果の受け皿となるページ作成などを行いました。
初期施策に対してPDCAを回すことで、こうした傾向が徐々に見えるようになってきたので、第2フェーズ以降は地道なサイト改善がやりやすくなってきたと思います。

――それらの改善はすんなり成果に結び付きましたか?

すべてが思いどおりというわけではありませんでした。例えば「活版印刷」というキーワードでは、下層コンテンツを手厚くすることで順位が向上するだろうと想定していたのですが、思ったほどではありませんでした。この反省をもとに、第3フェーズでは「活版印刷」の第1ページに情報を集約させることで大幅に順位向上できました。

一方、「UV厚盛」は自然検索流入で上位を狙いたいキーワードでしたが、受け皿ページができたことで5位まで上昇しました。
このころからSEO対策は、「ある程度の時間をかけて仮説と検証を繰り返し、段階的にステップアップしていくことが大切だ」ということが、実感できるようになってきました。そして「やればやっただけの成果が確実に得られる」という確信を持ったのもこのころでした。

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――第2フェーズの成果には満足できましたか?

そうですね。2014年12月の売上は昨年同月の1.5倍になり、単月過去最高収益になりました。また、新規顧客も増加し、例年閑散期にあたる2015年1月の仕事量も昨年の倍くらいあったことを記憶しています。
「Web上での視認性を上げる」という当初の目的は概ね達成できたという感触があったので、第3フェーズではいよいよ「ブランディング」に取り組もうということになりました。

企業ブランディングを狙いオウンドメディア化へシフト

――第3フェーズから「オウンドメディア化」の施策が始まりました。

特別、「オウンドメディア」を目指したというわけではありませんが、Webサイトを活用したブランディングにはどんな方法があるのかを検討していくうちに、「自然リンクを獲得するためのコンテンツ」や「企業ブランド力を高めるためのコンテンツ」を充実させる必要があることがわかってきました。

具体的に言うと「希少性やオリジナリティの高い情報発信」が必要であり、その表現法としては「顔が見えるコンテンツ」が望ましいということになったのです。情報を発信していくことが、自然にオウンドメディア化につながっていく形になりました。
こうしたビジョンは初代担当者さんのころから「そうするべきだね」と話し合っていましたが、コンサルタントが代わってからも路線を継承する結果になりました。

――「河内屋らしい」情報発信というわけですね。

従来の施策は継続しており、検索流入には目立った伸びはありませんでしたが、「既存顧客に新規顧客が上積みされていく」効果で売上は伸び続けました。

第3フェーズではそれに加えて、活版印刷や箔押し印刷の基礎知識といった「印刷をより深く知っていただく」ためのコンテンツの追加や、フォトグラファーの写真集など、河内屋ならではの印刷作品の事例を紹介するコンテンツの追加に注力するようにしました。
SEO対策というより「コンテンツの方向性や内容」を重視する、コンテンツマーケティングの領域にも踏み込んだ気がします。
結局、こうした取組み全体を俯瞰してみると、オウンドメディア化してきたということになるのではないでしょうか。

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リスティング広告の費用対効果を拡大

――弊社へのご依頼以前からリスティング広告を運用されていましたが、効果はいかがでしたか?

10年くらいまえからYahoo!のリスティング広告を運用していますが、キーワードの絞り込みができず無駄なキーワードが多くなってしまい、問い合わせになかなか結び付きませんでした。

ナイルさんの協力を得るようになってから、効果的なキーワード選定や適正な予算配分ができるようになり、売上に貢献してくれるようになりました。
リスティング広告の成果としては、月額30万円使って30件程度の問い合わせだったのが、18万円で50件程度に上昇しており、それに加えて電話による問い合わせも増えました。

当社のような業態では、顧客からの「問い合わせ」「相談」「ご提案・お見積もり」「受注」という流れを経るのが普通ですから、問い合わせは重要なコンバージョンポイントです。リスティング広告のコストパフォーマンスは、随分向上したなと感じています。

SNSを活用しての本格化するオウンドメディア戦略

――現在は第4フェーズに相当しますが、オウンドメディア戦略がいよいよ本格化してきました。

ナイルさんとのお付き合いも長くなり、担当が3代目の平塚さんに代わったあたりから、「今までの流れをいったん整理・最適化しよう」ということになったんです。
サイトのコンテンツもボリュームが増えて整理したいし、導線設計も見直したい。一覧ページの作成も必要と、建て増しに次ぐ建て増しで一体感が薄れてきたコーポレートサイトを、「河内屋という企業ブランドの情報発信基地」にするための取組みが始まりました。

とはいえ、コンテンツ数もいつの間にか膨大になっていました。
SEO施策はもちろん重要ですから、個人ユーザーにもニーズの高いキーワードである「活版名刺」の順位向上などのため、日々コンテンツの追加は欠かせません。
現在のサイトを運用しながら、どのタイミングでサイトリニューアルに踏み切るか。コンセプトワークやスケジューリング、予算計画などを現在並行して進めているところです。
また、FacebookやInstagram、TwitterなどのSNS向けの情報発信が重要になってきました。SNS投稿によってサイト流入が右肩上がりになっており、2015年比で110~120%程度で推移している点にも注目しています。

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オウンドメディア戦略を超える「コミュニケーション企業」構想へ

――今後のビジョンについてお話しいただけますか?

事業としては、従来の印刷業に加えてオンラインショップでの自社商品開発・販売にも注力していきたいと考えています。

和紙専門店の「WACCA JAPAN」さんや、プロダクトデザイン会社の「デザインフィル」さん(ブランド名・MIDORIⓇ)との提携により、河内屋オリジナルの紙製品や文具が開発・販売できるようになりました。
こうした事業と印刷業との比重についてはこれから検討していくところですが、まずは「河内屋」という企業ブランドの確立・周知・浸透、そしてお客様のファン化を図れればと願っています。

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次に人材育成や社会貢献に関しては、ショールーム「ラボラトリー河内屋」を起点にして、第一線級のクリエイターや芸大生・美大生など、幅広い人たちのオープンラボ的な場が作れたらと思っています。
ワークショップはすでに開催していますが、デザインコンペやコンテストなどのイベントもやってみたいですね。
ラボラトリー河内屋には、日本最大級のハイデルベルグ活版印刷機を設置しています。B4版が刷れる活版印刷機に触れられる場所は日本中探してもそうはありません。

こういう設備に実際に触れてもらい、「何か新しい表現手段はないか?」とプロ・アマを問わずクリエイターたちが研究や実験に打ち込める。そんな場を提供することによって、次世代のクリエイターや印刷技術者が育ってくれるのではないかと期待しています。

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――Web戦略に関してはいかがですか?

これは河内屋の長期ビジョンと非常に密接な関係があります。というのも、「河内屋」もしくは新ブランドをどうブランディングしていくかを検討するにあたって、コーポレートコミュニケーションのあり方を刷新する必要があると考えているのです。

私は河内屋の経営にあたって「新たな印刷技術の可能性を追求し続けたい」という理念を持っていますが、印刷技術とはつまるところ「表現技術」であり、言葉では伝えきれないコミュニケーション手段だと思います。しかし、「言葉で伝えきれない印刷表現」を説明するためには、印刷物に触れていただくための、言葉や視覚によるコミュニケーションが不可欠です。

オウンドメディアを活用し、私一人ではなく、河内屋の社員全員がお客様や全世界のクリエイターと交流しながら成長していけるよう、「全員が情報発信者」になる体制を整えていかなくてはならないと思うのです。これが河内屋の「コミュニケーションコーポレート」構想です。
情報発信担当者も育てなくてはなりませんが、社員全員が情報発信しやすい体制、情報発信したくなるモチベーションなどの環境をどう整えていくかが私の重要な役割だと思います。

――最後に、今後ナイルに期待することをお教えください。

ナイルさんには今後も、SEO施策など業績に直結するサポートやサイト・メディアの運用をお願いしながら、
「有機的なオウンドメディアの活用提案」
「企業ブランディングのためのWeb戦略提案」
「コミュニケーションコーポレート構想を実現するための情報設計支援」
など、多岐にわたる協力・支援を期待しています。

協力というより、二人三脚のような形でいっしょに育っていきたいですね。

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自社のWeb運用ノウハウやSEO技術を強みとし、コンテンツマーケティングや分析など、Webサイトの総合的なROIを改善コンサルティングを展開しています。Webサービスを得意とする企業ならではのコンサルティングで、企業様のWebビジネス成長を支援いたします。

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